【旅鉄】日本一酔う?という噂の「特急やくも」に乗って来ました

「特急やくも」とは?

岡山駅から出雲市駅までの約220キロを3時間強で走る、国内最後の381系国鉄型特急電車です。山陽から山陰を結ぶ伯備線を疾走する「やくも」ですが、その道中は非常にカーブが多い

通常は高速でカーブを走行すると、遠心力で乗客が外側に引っ張られて転倒する危険があるためスピードを落とのですが、やくもはカーブで車体が内側に傾く「自然振り子式」が採用されているため、カーブでも高速で安定した走りが出来るようになりました。

高速走行の実現によって浮上した悩み

カーブでの高速走行が可能になり、目的地までの時間短縮が実現した「特急やくも」ですが「自然振り子式」であるがゆえに、多発するカーブを高速走行する時に予想以上に車体が傾くという悩みが浮上…。そのためネット上ではこんな情報が氾濫していました。

「日本一揺れが酷い電車」

「酔いやすい特急」

「とにかく酔う・二度と乗りたくない」

いやー、恐ろしい(笑)私も子供の頃は特に乗り物酔いしやすい体質で、車、バス、タクシーはもちろん、特急も苦手でした。わざわざ酔いやすい電車になんて乗りたくない!と思っていたわけです。

新型「273系特急やくも」デビュー

そんな「特急やくも」ですが、今年2024年4月6日「新型やくも」がデビューしました。

「日本一揺れが酷い特急」の汚名を返上すべく、国内初となる「車上型の制御付自然振り子方式」を採用し、大幅な乗り心地向上を実現したとのこと。

「車上型の制御付自然振り子方式」今まではカーブの遠心力に任せて車体を傾けていたが、今回はあらかじめ登録されたマップや曲線のデータと、実際の走行地点データと照合しながら、最適なタイミングで車体を傾ける…というような説明になっていました。むずかしいですね(笑)

これにより「381系国鉄型特急電車」は今後新型に置き換わっていくことが決定したそうです。

いいなあ、この新型なら私も乗れそうだ!

やくもの揺れを体験したい!

しかし鉄道マニアの息子。当然、今後消えていく「国内最後の381系国鉄型特急電車」を見逃すはずありません。

絶対に乗りたい!381系やくも!!早く乗らなくちゃ!!!

まあ、そう来ますよね。そこで、春休みに岡山旅行を実現させて念願の「特急やくも」に乗ってきたわけです。ちなみに新型はデビュー前だったのでまだ見られませんでした。

岡山駅から出雲市駅へ

岡山駅直結のホテルに宿泊をしたので、翌日7:05岡山発出雲市駅行きのやくもを予約しました。3時間強も揺れると悪評高い電車に乗るんですよ。事前に梅やショウガの飴、ミントのタブレット、いろんなものを用意してドキドキ。そして往路はリッチにグリーン車にしました。少しでも楽に行きたいもん。

そして噂のやくもがついに岡山駅に入線。この形、かわいいし好きなんだけど、3時間も揺られるのやだなあ、って気持ちがどうしても拭えない。息子はワクワクドキドキで超ご機嫌です。

「ゆったりやくも」なんてかわいい字体でかわいいキャラと共にかわいい名前がついていますが、あまりの酔いやすさに「ぐったりはくも」なんて呼ばれているとか。なんかちょっとお気の毒(笑)

※このキャラクターは「やっくん」「ももちゃん」って言うらしい

ついに乗車です。

グリーン車は快適

岡山発は1号車がグリーン車。今回は1列シートの前から3席を取りました。

ひとりずつ悠々と座り、出雲市へ向けて出発!出だしはまあ普通。倉敷に向けてまだ街中を走っているので、揺れもそんなに感じられず。後ろの席の息子はスマホ片手に情報収集やら、動画撮影やら、車内アナウンスの音録りに忙しそう。

ついに振り子式を体感

「備中高梁駅(びっちゅうたかはしえき)を過ぎたころから揺れが酷くなる!」という情報を見ていたのでドキドキしつつも、そこまでは案外快適な走行だったのでちょっとリラックス。

しかし街から外れて緑多い自然の中を走り出すと、確かにカーブが増えてきた。そして窓のカーテンが斜めに揺れている。「カーブでは大きく傾くために地面が近づいて見える」なんて書いてあったのもちょっと頷けるほど。

後ろの息子も最初は「おお、本当に傾いてるね!!」なんて喜んでいたのですが、徐々に気配が消えていき、1時間半ほど乗ったあたりで振り向くと、シートでグッタリ目を閉じていました(苦笑)ちなみにパパはケロッとした感じで小説なんて真剣に読んでる。ありゃ大丈夫そうだな!

少し休んだ息子は、途中の停車駅で色違いのやくもがすれ違うのを見て復活!また行動開始です。グリーン車はすべて空席となりがらんと貸切状態。

息子は走行中デッキに行って色々撮影している。回復して良かった!

立ち歩いたら酔った

私もちょっと探索してみようと、トイレついでに歩き出したのですが。

いやあ、これ立つと揺れが酷い!

今までゆったり座っていたからそんなに気付かなかったけど、通路に立った途端、左右に振られる。しかもトイレに入ってみたら、狭いし壁にバンバン振られる感じ。しまいには何か足が濡れてる!と思ったら、便座クリーナー?らしきものに当たったようで液体が垂れた…。

もう一気に酔った感じでしたね。そして私がドカンとぶつかった洗面所の壁に噂のエチケット袋も発見!

確かに利用する人いるのかもしれないなあ(笑)

その後は大人しく席に戻り、梅の飴を舐めつつゆったり景色を楽しんでいました。宍道湖が見えて視界もひらけてくるともう揺れも気にならなくなり、無事に出雲市駅に到着!

3時間強の振り子式体験は終了です。

出雲大社へ!

せっかくここまで来たのだから、念願の出雲大社へ参拝に行きました。一生に一度くらい行ってみたい!と思いつつも、東京からだと気軽に行ける場所ではないので、こんなに早く実現できるとは思ってもみませんでした。これも息子の「やくも」に乗りたい!と言う情熱のおかげだ。

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

スサノオノミコトが詠んだという日本最古の短歌。「特急やくも」の名もこの八雲から付けられています。そして駅名標も雲の形。もくもくしてる。

そうそう、私が一度は乗りたいと思っている寝台列車の「サンライズ出雲」。たまに東京駅とかで見かけるけれど、ここ出雲まで来るんだよな…って思っていたら、やくもと並びました!

2両ともかわいい顔してるなあ。

そしてこのあと「一畑電車」に乗って出雲大社前駅まで行き、念願の出雲大社参拝が叶いました。息子は「ムスビの御神像」がお気に入りだったもよう。

出雲大社での観光もいろいろ思うことがありましたが、今回は電車記事なのでこのあたりはサラッと流しましょう(笑)

あ、そうだ。この日は快晴だったのだけれど、帰りに出雲市駅に戻った時に息子が「うわー、何か不思議な形の雲だね!立体的に重なってる!」という空を見ると、もくもくした雲がたくさん重なって本当に不思議な空でした。

それをどうして写真に残さなかったのか、自分も息子も不思議でなりませんが、まさに「八雲」って感じでしたね!

復路のやくもは国鉄色

行きのやくもは「ゆったりやくも色」でしたが、帰りは「国鉄色」です。

これぞ国鉄!ってカラーですよね。そしてこの復路は一般席。行きはグリーン車で悠々と乗車しましたが、帰りは普通の指定席。

揺れはどうかな?席も狭いのかな?酔うかな?さっき出雲そばと天ぷらセット食べちゃったよ、大丈夫かな?

なんてまた多少は考えちゃいましたが、もうそんな心配は無用でした。

なんせ岡山駅までの3時間強、半分以上は寝ていましたから(笑)なんなら多少の揺れもいい感じで心地よく感じるレベル。快適に帰って来れましたね。息子も(パパも)睡眠とってあとは快適に乗車していました。そして無事に岡山に到着!往復約6時間半のやくも乗車を(ほぼ)快適に乗り切れましたよ~!

特急やくもは日本一酔うのか?

往復やくもに乗って思ったこと。

今まで乗った列車の中で酔い加減はどのくらい?って考えてみると…

「座っていればそんなに気にならない」って感じでした!

もちろん個人差はあるし、体調によっても変わって来るけれど、私的には大人になってから一番きつかったのは京都から大阪まで乗った「スーパーはくと」だな。あれ、ディーゼルカーだったからか、後ろ向きに座ったからかわかんないけど「話しかけないでくれ」ってくらいキツかった気がする。

そしてもうひとつは「E353系スーパーあずさ」に初めて乗った時。これは振り子とは呼ばないのかな?でも車体傾斜制御っていうより細かな設定がされていて、やはり車体は傾くんですよね。このE353系はものすごく静かで、いや静かすぎるがゆえ耳からの情報が少なく体感だけで傾く感じを得るので私は妙に酔った記憶があります。

それに比べると、やくもはほんの少しだけど快適と言っても良かったかもしれません。とりあえず「ぐったりはくも」って程ではなかった!

いつかまた岡山方面に行く機会があれば、今度は新型車両乗って違いを体感してみたいと思います。

おまけ

すっかり「やくも」大好きな息子。岡山の鉄道模型のお店でNゲージ買ってもらってました。

スイミングで5級になったご褒美。お約束のNゲージです。これ、東京で買うのもネットで買うのも高いのですが、地元岡山だからか?かなり安かったそうな。さっそくレンタルコースで走らせて、息子ご機嫌でしたね!

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