負の感情を数字で表してみることによる気持ちの変化

怒られた、ケンカした、自分の意に反することが起きた。負の感情は突如として膨らんでいきます。大人だって自分でコントロールするのは中々むずかしい。

わが家の7歳児も、自分の中に生まれる負の感情に振り回されて、泣いたり怒ったり暴言吐いたり地団駄踏んだり、それはもう忙しいことがしょっちゅう(苦笑)

どうやったら気持ちを落ち着かせることが出来るかな?と色々試した中のひとつ「負の感情を数字であらわす」ことの効果を今回は紹介したいと思います。

それはある日の学童での出来事

夕方学童へお迎えに行くと、先生に笑顔で帰りのあいさつをして外へ出たとたんに顔を歪ませて涙をぽろぽろ流す息子。

もう学童なんて嫌だ!二度と来たくない!今日なんてなければ良かったんだーっ!!!

しがみついて泣いています。いつもなら「何だどうしたー?」と明るく聞いたり「今日なんてなければ良かったなんてさみしいこと言わないでよー」と言ったり「とにかくまずは家に帰ろう!」と時間を気にしたりしてしまいがちなのですが、今回はその場で立ち止まりギュッと体を抱きながら聞きました。

何かイヤなことあった?悲しいことあったの?

もうこんなところ二度と来ない!!!

まだ興奮して泣き濡れていますが、ちょっと考え込む息子。

うんうん、イヤなことってあるよねー。大人だってたくさんあるよ。でも、その気持ちを少しこうして言えただけでもえらいと思うなあ。

イヤなことってさー、口に出さないで自分の中にこもっちゃうと出口がなくて頭も心も大変なことになる!でもね、少しづつでも誰かに話すとさ、ほんのちょっとだけどイヤな気持ちが薄まるんだよ。これ本当。

すると息子はポツリポツリ話し出しました。

涙の訳は、仲良しの友達が急に「あのこと先生に言っちゃうからねっ!!」と怒り出し、あのことが何だかわからない息子は「あのことって何?」と何回も聞いたのにすべて無視されて、悲しいのと悔しいのとが入り乱れて感情があふれだしたもよう。

うわー…そうか、それは悔しいねー。無視されてもちゃんと理由聞いてみたんだね、やるじゃない!でも教えてくれなかったんだ、それは悔しいなあ。じゃあさ、その前に何があったか一緒に考えてみよっか。

すると、詳細がどんどん出てきました。息子も、悔しくて泣いていたことをしっかり受け止めてもらえたからか、一生懸命話してくれます。

理由はやっぱりちょっとした気持ちのすれ違いのようで、お互いの言い分は共に理解できる内容です。仲良しだからこそ息子と一緒に宿題も遊びもやりたい友達と、周りが賑やかだから今日は宿題は家でやると決めて、自分のペースで遊ぼうと思った息子。

「あのこと先生に言う!」とは「宿題しないで遊んでいた」ことみたいですね。まあ、わが家は「学童で宿題してくれば後が楽だけど、家に帰ってキッチリやるなら家でもいいよ」というルールなので、そこは先生もわかっているし問題ないのですが、学童で必ず宿題をやることにしている友達にはサボっているように見えたのかもしれないし(笑)

それならお互い悪いことはしていないね!うちは宿題やるのは家でもいいけどさ、おうちの人と絶対学童でやるって約束している友達は、一緒に宿題終わらせて仲良く遊びたかったんじゃない?

と聞くと

うーん…でも何回も理由聞いたのに何回も無視してさ!それに、宿題しないって断った時も、大きい声で「だめ!!宿題するんだよっ!!」って怒鳴ってきてさ!!!

まだ納得はしていない様子です(苦笑)

自分の気持ちを数字で表してみる

まだまだ悔しさ満載の息子に聞いてみました。

今、お友達への怒りパワーは何パーセント?

100パーセントだよ!!

迷うことなく答えました。相当なものですね(笑)1パーセントも譲れないそうです。それでも涙は乾いています。よしよし。

おお、すごいな、じゃあさ、「無視しやがって!許さねえ!」って気持ちと「悔しけど本当は仲良く遊びたいな」って気持ち、どっちに近い?

最初のやつだよ!許さねえってやつ!!

即答!燃えてますね(笑)でも、ほんの少し気持ちが晴れてきているのがわかります。声のトーンも顔つきも上向きになってきた。

この後はすっかり自分のペースを取り戻し、いつも通り過ごしていた息子。

寝る前にちょこっと質問しました。

明日は怒りパワーは何パーセントになっているかね?もしもだよ、お友達が普通に話しかけてきたらどうする?

まあ、遊ぶかな

じゃあまだ無視していたら?

お話ししないよ!!

さて、どうなることやら。

翌朝の様子と学童帰りの結果

朝起きて、今の気持ちは何パーセントか聞いてみました。すると

うーん、怒りパワーは0パーセント!

0??

急降下していました。かなりスッキリしたもよう。でももし無視してきたりしたら?と聞くと

その時は120パーセントになる!

根には持ってますね(笑)

 

さて、登校後から学童に向けてどうなることやら、と思っていましたが、学童へお迎えに行くと元気な息子登場。今日は友達とお話し出来た?と聞くと

ケンカはね、もう昨日で終わってたんだよ。今日はずっと遊んだしねー。

ちょっと気になったので、どうやって仲直りしたのか聞いたら

ケンカが終わってたから仲直りもしてないよ。いつもみたいに一緒に遊んだだけ。

おお!清々しいなあ。でも良かった!その後はまた、いつも通り毎日仲良く遊んでいるようです。宿題も一緒にやってきたりやってなかったり、相変わらずなペースで楽しんでいる様子。

気持ちを吐き出して客観的に見ることの大切さ

まずは、子供が悔しかったり悲しかったり、感情が溢れているその時に、心でも体でもしっかり受け止めてあげることがとにかく大切だなと改めて実感しました。

「今、こう思ってこう悔しいんだよーっ!うわあああっ!」

という心の叫びを、安心して吐き出せる場を作ってあげること。怒ること、悔しがること、涙を流すこと、そんな気持ちになったその境遇をしっかり受け止めてあげること。先回りせず、スルーせず。こちらに向かって飛んできた感情のボールをしっかりと胸で受け止める感じですかね。

そして、本当は良いことではないんだけれど、

〇〇のわからずやーーーーーっ!

とか

〇〇とはぜーーーーーったい、二度と遊ばない!許さない!!ふざんけんなーーーっ!!!!!

くらい、家で言わせてあげましょう。何なら「そうだそうだ!ゆるさーんっ!」くらい親子でご一緒に(笑)子供も、自分の中の負の感情を言葉に出すと、イライラ、モヤモヤが形を持って現れて、少しだけれど客観的に見ることができます。

ポイントとまとめ

誰だって負の感情はうれしいものではないけれど、敏感で繊細な気質の子(人)は、その負のパワーを何倍にも感じ取って相当心がかき乱されています。

そして子供はみんな、まだ自分の感情をうまくコントロールする経験値が低いために、涙にぬれたり荒れ狂ったりすることも多々あります。

負の感情を言葉に出すこと自体は否定しない、それはポジティブになろうとする過程で大切な手段なのだと思います。ただし、ネガティブで終わらせないこと、これが重要。

言葉に出した後は、負の感情のその正体を探ること。これを必ずセットにします。

  • 相手はどうしてこんなことしたんだろう?
  • 自分はどこが一番嫌だったんだろう?
  • 自分はどうしたら気持ちが上向きになるのかな?
  • 今一番したいことは何だろう?
  • 今の怒りパワーはどのくらいだろう?

もちろん、思い出したくもないことがあるかも知れません。そこはその気持ちを優先してあげてください。これは周りが急かすものでは決してありませんので。

そして何より大切なポイントは、寄り添い受け止める側が、相手の行動ではなくその気持ちに共感を示し続けること。人は誰かに心を傾けてもらえると、それだけで勇気が湧いてきたり心が強くなれるのです。

感情を数値化することは、自分の中の感情に目を向けること。そしてほんの一瞬でも客観的に見ることが出来る有効な手段だと思います。

もしお子さんが(大人でも)怒りや悲しみに心が振り回されているような場面に出会ったならば、その気持ちに寄り添いながら、ぜひ一緒に感情の数値化を試してみてください。

以上、今回は「負の感情を数字で表わしてみることによる気持ちの変化」についてのまとめでした。

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