男子の母になってから「男の子はとにかくよくケガをするよ!」と言われてきましたが、例にもれず本当にちょこちょことケガをする息子。
保育園時代も、散歩中に車止めに上りそのまま落ちてコンクリに頭を強打して大きなたんこぶを作ったり、後ろ向きにしゃがんで何かをしていた先生に向かってトイレの段差からジャンプをしたら、ちょうど先生が立ち上がり、弾き飛ばされて段差の角に頭をぶつけて流血したり。
家でも、外階段の二段目あたりから急に振り向いて滑り落ち、コンクリにこめかみを強打してすりむいて腫れ上がったり。頭以外では、手に足によくまあ痣や傷を作って帰ってきています。
そんな息子が、初めて外科に行くほどのケガをした時のことを、私の覚書として残しておこうと思います。
いつものケガとは違う傷
保育園年長の夏前のこと。帰りに寄ったスーパーの駐輪場で私が自転車を出す間、横にいた息子。タイヤを乗せる枠を跨ごうとして…いや、たぶん登ったんだな、音もなくスルッと転び「いててっ…」と言ったのも束の間、ぶつけたスネから血が出ているのを一目見た途端に絶叫して悶絶し出しました。
あらあら、擦りむいたか、スネは痛いだろうなあ、なんて思い抱き上げると道路にポタポタと2-3滴の血が…いつもの怪我と何か違う!
急いで見ると、左足スネが2センチほどパックリ割けて傷も深い。しかも奥に何か白いのが見えているし。
普段から、かさぶたが取れてうっすら血が滲んだだけで「血だ…血が出たー!」と血にとても弱い息子。今回は、痛みはもちろん、ショックで過呼吸になりそうな息遣い。
抱きかかえたまま、念のため薬局でガーゼやテープなど買い込むものの、いやいや、こんなんじゃマズイだろうと思い直し、急いで夜間医療機関案内の窓口にかけると、自転車で20分の距離の外科を教えてもらえました。
まだ興奮気味の息子に、
今から行くのは外科だよ。いつも熱が出たりして行くのは内科。今日は怪我だから注射はないからね!
と、なだめながら自転車で向かう頃には、かなり落ち着いて来て、後ろでのんびりグミなんて食べていました。
外科に到着、診察の結果は
病院に着くと早速看護士さんが「歩けるか確かめさせてね!」と息子をソロリソロリ歩かせます。
痛いから傷は見たくない!
と言って、傷をタオルで押さえながらも診察室までズリズリ歩く息子。余談ですが、この傷、初めこそ血が2-3滴垂れたものの、すぐにタオルで軽く押さえて病院まで来てはじめて外したけれど、小さなバンドタオルに点々…と血が付く程度でほとんど流血していませんでした。
しかし。
タオルを外し傷を見た看護士さんは、すぐに顔を曇らせて別室の先生の所へ。何だかいやな予感に包まれていると、すぐに戻った看護士さん、私の耳元で
「麻酔して縫わないとダメですね…」
…ああ、やっぱりダメか。あのパックリだもんな。すぐに息子に傷の状態と、麻酔のために注射をする事を話すと、
嫌だ嫌だ!注射なんて絶対嫌だ!!転んで痛いのに注射なんて痛すぎる!!!いやだああああ!!!!
と痛い足を振り回し絶叫、壁も蹴る勢いで大暴れです。看護士さんはきっと、大仕事になると思ったのでしょう。
「このままじゃ傷からバイ菌入って足が腫れて歩けなくなるの!」
「今、チクッと痛いの3回我慢したらきっとすぐに良くなる!頑張れる!?」
と、息子の顔を両手で挟んで真剣に話しかけている。すごい気迫です。息子を抱きながら私は「えー!チクッと3回もー!?」と内心驚きながらも、
注射ないって言ってごめん!傷がかなり大きくて、傷をキレイにするには注射して麻酔しないと治せないみたいなんだ。
注射は今までに何回も頑張ったものと同じ。今日の注射で違うところは、足に打つことと、麻酔は打った後に痛みが和らぐものなんだ。だから痛みが弱くなった間に傷をキレイにするの。
と隠さず伝えると、まだまだ大泣きながらも、深呼吸して
それがこれからやる順番…?ううう…怖い、でも、わかった、がんばれる…
と宣言してくれました。案外あっさり納得した息子に、看護士さんがビックリ。「え!!!頑張れる?!すごいね!」そう言ってすぐ準備に取りかかります。
これが息子の性格なのでしょうかね。やらなければならない事を理解したら、嘘偽りなく流れを教えてあげることが、本人は相当恐怖ではあるけれど、一番望んでいるし大切なことなのです。
それでもカチャカチャ器具を運んだり、何人かが出入りする度に
ちょっと!!まだ注射出来る気分になってないからっ!!
と威嚇を繰り返す息子(笑)途中、看護士さんが、チョコとラムネを差し入れしてくれたら「食べる…」と控えめにお礼を言ってポリポリ。
注射は誰だって痛いもん、思い切り泣いて良いからね、怖くても泣いても全然恥ずかしくない。絶対にママがそばにいるからね!
と言うと「うん…」とまたポリポリ。葛藤が手に取るように解り、何だかこちらが泣けて来そうなのをこらえ、
ママもそういえば前に首が痛くて動けない時あったじゃない?あの時、首に注射で麻酔したんだよ。
と話したら「そうなの?痛かった?」と涙目を向けながらちょっと笑顔に。同じものをやった、という安心感がほんのちょっとだけ生まれたみたいです。
ただし、私は傷もないところに注射を一回だけ、息子は痛いところに注射でそのあと傷の治療もあるので、まるで比べ物にはならないのですが…(涙)
ついに治療開始、そしてその治療方法は…
10分くらいして、先生がぞろぞろ四人入室。それを見てまた泣き出す息子。確かに物々しくて私だって恐怖でした。
ベッドに横になる息子に、私は添い寝で顔をつけて肩を押さえ、一人が息子のお腹に跨がり、二人はそれぞれ足を押さえて、先生が治療開始。
この時点では、私は「麻酔の注射を3回してから縫合」だと思っていました。
泣き叫ぶ息子の顔を間近で見ていると、チクッと来たであろう瞬間に、
ギャアーッ!痛い痛いっ!!
と目を見開いて大粒の涙がボロボロ。私も泣きそうなのをこらえていたのですが、わんわん泣きながらも息子は、
いってーなーっ!!お前らふざけんなっ!!こんな病院ぶっこわす!ギャーッ!痛い痛い痛い!!!ぜってー許さない!!離せって言ってんだよお前らーっ!!ぎゃあああああ!!!
と超悪態をつきはじめました。いやいやいや、この口の悪さは…(苦笑)しかも、看護士さんが「よし!頑張ったね!全部終わった!」と振り向いたあとも、消毒は続いていて、
うそつけ!まだいってーんだよっ!ふざけんな!ウソつき!!
と大抗議。それでも程なく治療が終わり「ほら!本当に終わったよ!見てみる?」と聞かれ、
ああ?!終わった??ちっ!見てみるよ!!
と答えて起き上がる息子に「え?本当に見てみる??」と、また看護士さんビックリ。私は見えなかったけれど、傷口を見た息子、
なーんだ、変なの!
と、強がりなのか一言いい放ち、コテン、と横になると思い切り抱きついて来て、
…本当に痛かったんだー…
と呟いていました。
本当に、本当に良く頑張ったね!!息子をしっかり抱きしめると、息子も私も先生たちも、ようやくニッコリ笑顔に。しかし、ここで治療方法が判明。
「麻酔3回から縫合」ではなく「麻酔なしで医療用ホチキス3ヶ所」でした。
えーーーー??麻酔なしだったの????
麻酔の注射で3回痛みを味わってから、その後痛みが消えたとはいえ縫合が続くよりも、同じ3回ならホチキスのほうが時短で苦痛が少ないと判断されたようです。
まあ確かに治療時間は思ったよりも早く終わって、痛がったり騒いでいる時間も短かったけれど…。でも、相当痛かっただろうなあ。息子よ、本当によく頑張った!!
レポートは次に続きます。
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