消極的な理由のひとつは「相手の気持ちを読みすぎるから」

積極的も消極的も大切な個性!

集団生活での個性

みんながワラワラと集まって、我先に!と何かをもらう時、知らない人に何かの理由で話しかける時、友達が遊んでいるところに後から入って参加をする時・・・。

こういった場面、苦手な子(もちろん大人も)いますよね。やってみたら実際はあっけないことの方が多いのだけれど、その一歩が重くて前に中々進めない。こういった場面、私も昔は苦手でした。

いつの時代の友達の中にも、いつでもどこでも無邪気な笑顔ですぐにその雰囲気になじめる子が必ずいて、当時はそういった子を見ると「すごいなぁ」と素直に感心してたように思います(笑)

性格・環境の影響を受ける個性

親になった今、子供達の様子を見る機会が増えて改めて観察してみると、やはり子供達の中でも「天真爛漫な子」「ストレートで好奇心旺盛な子」「誰とでも臆せず話す子」そんな中に「流れを静観して一歩引いてみる子」がいるのに気付きます。

これは個々の性格プラス環境の影響も大いにあるので、成長によって変化していくものだと思っています。実際に私も、基本的性格は変わりませんが、その場によって必要であれば、積極的になれることも多々あります。

消極的はマイナス面ではない

消極的となる場合の多くは「話しかけるの恥ずかしいな」「どうしよう緊張するな」といった自分自身の感情によるものだと思います。周りからは「恥ずかしがり屋」「引っ込み思案」「消極的」など、色々な言われ方をされますよね。

そしてその言葉は、何となくマイナスイメージが優勢なのはなぜでしょうか?みんなが積極的でなければいけない理由なんてないのですが「子供は元気で明るいのが一番」的な刷り込みがどこかであったのでしょうか。

私の記憶にはあまり残っていませんが、小学校時代までにきっとそういった風潮が出来上がっていたのかも知れません。

でも「恥ずかしがり屋」「引っ込み思案」「消極的」といわれる子供達も、自分なりに場の雰囲気を察知して「ここはやっぱり恥ずかしいな」「ここではがんばろう!」と葛藤しながら向き合って、本当に必要な時には勇気を出して思い切った行動に出ることも出来るのです。

天真爛漫な子もいれば、恥ずかしがり屋さんもいる。どちらが良い、悪いなんてなくて、それぞれに輝ける場があるし、自分の持っていないものを相手が持っている、それぞれが大切な個性、お互いが尊重されるべきものだと思います。

「敏感・繊細な子」の消極的な理由

一方で、同じように消極的な子と見られる中には「敏感・繊細な子」がいます。「引っ込み思案と何がどう違うの?」といわれると区切りは難しいのですが、息子の例を挙げて説明していきたいと思います。

消極的とは言い難い一面

基本はふざけたりひょうきんなことが大好き。知らない人に「どうもどうもーっ!」「はいっ!こんにちはーっ!!」と話しかけて走り去ったり、積極的に話しかけて電車愛を熱く語ったり、知った顔を遠くに見つけると「おーーーーーーい!」と呼びとめてあいさつしたり。他にも、道端であやしい振り付けで歌ったり踊ったり、これはカンベンしてほしいのですが友達とお尻を出してゲラゲラ笑っていたり(苦笑)

そして、自分が納得していない時は、相手に流されそうになっても「いやだ!絶対にいやだね!」と断固拒否をする鉄の意志を持っています。

消極的と見られる一面

前述とは一見矛盾しているようですが、誰かが何かをしている時に話しかけることが苦手です。そしてすでに出来上がっている輪に入ることも苦手ですね。

例えば、朝保育園で準備が出来て先生に連絡帳を渡す時など、先生が忙しそうにしていると声をかけるのをためらってモジモジしています。もちろん先生は気付けば「おはよう!ありがとう!今日もお変わりないかなー?」と満面な笑顔で話しかけてくれるのですが、それでも作業中に割り込んでいくのが大の苦手。

「忙しそうだな、話しかけて大丈夫かな?」と相手を思っての心配と「忙しそうだから無視されたらいやだな」という心配もあるようです。

 

他には、例えば散歩の時間。「〇○くんと手をつなぐ!」と言ってくれるお友達が何人かいてくれた時に、絶対に自分からは選べないようです。結果、先生やお友達に「〇○くんは誰と手をつなぎたい?」と聞かれても「誰でもいい」なんて、そっけない返事をしているもよう。

この気持ちの根底にあるものを、以前息子が話の中で教えてくれました。友達や先生から自分の意思を聞かれた時、または「どれがいい?」「誰がいい?」と選択を迫られた時、

「相手の求める答えでなかったらどうしよう?」「相手が傷ついたらどうしよう?」

という心配があるようです。大げさな、とも思いますが「敏感・繊細な子」にとっては大きな問題なのですね。答えを聞いた時に「ああ、やっぱりそうだったのか」と思いました。

 

「敏感・繊細な子」は、すべてにおいて消極的なわけではない。相手主導の対話の時に消極性が出やすい。
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相手の表情・態度から気持ちを読みとること

「敏感・繊細な子」が最も得意とするもののひとつがこれ。声色、表情の変化に非常に敏感です。

だからと言って、いつも顔色を窺っておどおどしているという訳ではないのですよ。実際、日常茶飯事である諍い中には「こっちの気持ちも考えてくれよ!」と言いたくなることが度々あるし・・・ここでこそ読んでほしいのですがね、そううまくは行きません(笑)

「きっと相手(ほぼ私)は怒りそうだな、でもこれは絶対に譲らないぞっ!!」と意気込んでいて、まさに思った通り相手が怒っている時は、相手がどんなに怒り狂おうがさほど気にせず我を通します。実際にかなり頑固ですよ、まさに鉄の意志!!しかしそんな息子の悪魔形態の場合は、今回はおいておきます。

相手の気持ちを読む

何よりも相手の表情や声色の変化を敏感に察知します。自分に気持ちを向けて話を聞いてくれているか、面倒くさそうなのか、怒っているのか、悲しんでいるのか。

向き合ってくれそうもない場合は、自分が傷つくのを避けるためにも早々に諦める、または極力関わらないこともあります。

 

まだ私に「敏感・繊細な子」という概念がない時に、息子がふざけていて私が泣き真似をしたところ、絶好調で楽しんでいた息子が私の顔を見た途端、ほんの1~2秒で大粒の涙を流して泣き出しました。しかも大泣きです。

その時は何だかわからなかったけれど、その後も楽しく遊んでいる時に泣き真似をすると、必ず同じように瞬時に大泣きになります。

それからは精神的に良くないと思い控えていますが、今でも悲しそうな雰囲気を少しでも察知すると心配そうに顔を曇らせています。自分の目の前の楽しみよりも、相手の心の翳りが気になって仕方ないのですね。

場の空気を読む

普段の登園時はいつも友達が思い思いに遊んでいる時間。元気に教室前まで来ても、たまにイレギュラーで別のクラスの子がいたり、登園した子から先に何かの練習を始めていたりすると、もうその空気を異質に感じてモジモジしたり、抱きついたり、泣き出したりすることがあります。

はじめから今日はこんな日、とわかっていれば自分の中でシュミレーションをして対応できるようですが、自分の気持ちと場の空気にちょっとでもギャップがあると、しばらくの間はかなり消極的になります。その間にも、心の中で気持ちの組み立てなおしをしているようです。

場になじむまで時間がかかるので「スロースターター」と言われますが、面倒くさかったりただ嫌がっているだけではなく、心の中では必死に気持ちの再構築をしていると感じます(笑)

 

敏感・繊細な子は、相手の気持ちやその場の空気を読みすぎて消極的になる傾向がある。しかし常に気持ちの再構築をしようと頭を働かせている。

親の気持ち・子の気持ち・対処法

しかし子供のこういった消極性を目の当たりにすると

  • もっと積極的にチャレンジしてほしい
  • お友達はあんなに楽しそうに参加してるのに
  • この先こんな感じで大丈夫かしら?

という気持ちが浮かんではきませんか?当然、大切な子供の将来を心配してのことなのですが、実際は要らぬお節介かも知れません。そして結局は親自身が「積極的で明るく何にでもチャレンジする子」を優位に見ている証拠でもあります。

 

自分にまだ自信がなくて消極的な子には

  • 大丈夫!失敗してもいいからやってみよう!
  • がんばれば出来るからチャレンジしよう!

または発破をかけるように

  • 真剣にやれば出来ないはずない!
  • やる気の問題だ!

という言葉が有効的な場合もありますよね。

 

しかし「敏感・繊細な子」には必ずしも有効ではありません。相手の気持ちを読みとることが得意な子は、自分が何かに対して消極的だ、というそのものの気持ちよりも、相手の期待に応えていないということに対して気を遣い、予期せぬ方向へ追い込まれていくことがあります。

 

それが吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、出来れば背負わなくても良いはずの負担であることは間違いない。

 

更に、相手の気持ちを読みとることが得意な子は、自分に向けられた(もしくは目にした)他人の負の感情を、私たちの何倍にも感じ取って心に大きな傷を負いやすいのが特徴です。

 

日々過ごす中で「大げさだな」「メンタルが弱いな」なんて思ってしまうことがよくありますが「敏感・繊細な子」の底力を侮ってはいけませんよー(笑)

  • 消極的な時にも周りを鋭く観察している
  • 出来ない!と投げやりになっても決して忘れない
  • 自分の心の中で納得いくまで考えて実行する

個々に差はありますが、得意とする「読みとる力」「記憶力」「殻にこもる時間」を駆使して、執念ともいえる時間をかけて苦手を克服することが多々あるのです。

 

消極的な面をマイナスと捉えず「一線引くのは現在思考中」と捉えて、本人のペースを守ってあげるのが何よりも大切ですね。しかしその場で即決しなくてはならないような時間に追われていている時は、多少強引でも親がリードしてあげることも必要となります。

その際もちゃんと理由を説明をして

  • 今は自分で考えているんだよね?
  • しっかり時間を作って一緒に考えよう!

と理解を示すことを忘れずに!

理解を示してくれる!という安心感は、自分のペースを保ちながら物事に取り組んで行く自信につながります。

実際、親には結構ハードな取り組みなのですがね、これを理解しているだけでも、何かの役に立つことがきっとあります!予想外な反応にも共感を示しながら、親も子も日々過ごせたらいいなあと思います。

まあね、現実は厳しいですよー、本当に難しい(笑)

 

消極的に見える時にも、頭と心をフルに回転させて場を読みとり、自分がどうしたら良いのか一生懸命に考えている。「考えているんだよね?理解しているよ!」という共感を示して安心感を与えると、子供は自分の力を発揮できる。

 

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