HSCという言葉に辿り着いたきっかけ
私が息子の気質にちょっとした違和感を感じたのは3-4歳のころ。
当時はまだ「HSC(HSP)」という概念は今ほど広まっていなくて、私もまるで知らず。
HSC(Highly Sensitive Child)とは敏感で感受性の強い子どもを指し、それに対して大人はHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれている。
息子の何を見て調べたんだっけなー。
多分、公園の滑り台の数段の階段が怖くて登れないで絶叫するというような、そんな場面にちょっと違和感を覚えて「滑り台 怖がる」というようなキーワードから「繊細・感受性が強い」となり、そこで初めて「HSC」という言葉にたどり着いたように思います。
そこからHSCについて調べ始めると、息子と同じような、というよりも、息子自身のことか?と思うような実例を目の当たりにして「ああ、こういった気質・概念があるんだな」と納得しました。
その時の正直な気持ちは「いろいろ苦手なことも多そうで苦労もしそうだけど、どっちかっていうと何て魅力的!」と感じました…笑
HSCという言葉を使ったのは2回
しかし、私が息子について「HSC」という言葉を使って話したのは、保育園の先生と小学校のカウンセラーの先生だけ。
保育園では、園長先生も参加して今後の保育に関する希望などの話し合いの場を設けてくれました。もちろんこの時点では先生方もHSCは初耳で、その後療育センターの担当者の方にも聞いたようですが、やはり誰も知らなかったとのこと。
ただ、保育園では「こんな感じの気質みたいです」というレベルで話をしました。実際にHSCという概念に当てはまったとしても、何か特別対応をしてほしいわけではなく、先生が『あれれ?』と何か違和感を感じた時に『そういえばこんな気質って話だったよな』と思い出してくれたらありがたいです、ということを伝えてきました。
小学校では、息子の様子について保育園から引き継ぎ書が提出されていたので、あえてこちらから「HSCという気質があり…」なんて話はしませんでした。もちろん引き継ぎ書にも書かれていません(内容は事前に見せてもらった)。
まあ、毎朝泣きながら一緒に登校していた息子を見れば、先生はもちろん、お友達だって『あれれ?』と思うことは多々あるでしょう。でも、これは「HSCだから」ではなく「こういう性質だから」というスタンスでいました。
ただし、相談室のカウンセラーの先生に一度お会いする機会があった時に「HSC」について聞いてみたのです。こういった気質の子は今まで会ったことはありますか?と。
すると、小中高でカウンセラーをしてきた先生は、HSCという概念を知っていて、そういった性質の子は確かに存在している、と断言していました。
ここでも、息子の様子について話をたくさん聞いてくれて「早速教室をまわる時に、気にかけて様子を見てみますね!」と言ってくださいました。もちろんここでも、HSCだからどうこうではなく、事実を事実のままに伝えただけ。
息子に話したこと
以前、息子が自分のことを「こわがりでびびりなんだ」と言って意気消沈していたことがありました。でも、これはHSCだからではなく「こわいと感じたり、勇気を出せない時は、自分の中の自分が『キケンだよ、危ないよ』と教えてくれているんだよ。それを感じることが出来るのは生きていく中で大切なんだよ。だから大事にしていいんだよ。」と教えたことがあります。
それからも、本当に様々な場面で怖がったり足がすくんだり、誰もが出来ることをどうしても出来なかったり、私の中では『おいおい、相変わらず超・超・超慎重派だな、怖がりとかビビリなんてもんじゃなくて、何か異次元・異世界が見えているんじゃないか?』と思うような、呆気にとられるシーンも多々あります。
本人は至って真剣なんですよ。本気で怖がり、訝しがり、泣いて、叫んで、ダッシュで逃げて、それはもう大忙し。もちろん、反対に「そんなに楽しいか?」と思うようなことでも、腹の底から笑い転げ、笑いすぎて涙を流し、のたうち回って喜んでいる。
感受性が強い、というのも当てはまるのかどうなのか。とにかく、いつでもいろんなことを感じ取って喜怒哀楽の表現が豊かなんです。
息子に、HSCについて書かれた本を一度だけ見せたことがあります。本人は、自分と同じような内容に大いに共感していましたが、それは4コマ漫画の内容を楽しんで読んだだけ。
親子ともに「あなたは(ぼくは)HSCなんだよ」なんてつもりは毛頭ないし、たぶん息子はその言葉すら知らないと思います。そして今はそれで良いと思っています。
今の風潮で思うこと
HSCについて知った時点で、息子について「この子はHSCなので」というように決めつけた言い方をするのは絶対にやめようと思っていました。といいつつ、こういったブログを立ち上げているのは矛盾しているのですが。
でも、息子の生活圏では使わない。
そもそも「HSCなので」とわざわざ公表するようなものでもないと思っています。ただ、こういった概念があると広まってくれたらいいな、という思いも確かにある。むずかしいですね。
最近は有名人でも「HSP」を公表して話題になっている方が多数います。5人にひとりいると言われている性質ならば、もっと存在していても不思議ではありません。
ここにきて「HSC(HSP)」という概念が広まってきたのは、喜ばしいことなのだと思います。
でもですね。やはりというか、公表する人が増えてくると、そこには「本当にHSP?」というような人もきっと紛れ込んでいると思うんです。
「私HSPだから」「自分HSPなんで」みたいに、個々の性質や性格を押し付けるような流れになったり、何かの免罪符のようになってしまうと、きっと周りは「なんだよ、めんどくさいなHSPって」とか感じ始めると思う。そうなるととても残念だなと思います。
おそらく、HSP(HSC)の本質は、相手の感情を敏感に察知するのが得意な場合が多いと思うので、自分の意見を押しつけて相手が不快感を表すようなことは避けたがる傾向が強い気がする。
もちろん、HSPの概念自体が「こういったもの」と明確なわけではなく、非常に広範囲に及んでいるから、当てはめれば5人にひとりどころか、ほぼ全員何かしら当てはまるでしょ!という感じ(笑)
それでもやはり、敏感で繊細な気質という部分では、周りと違う特異性がある。
一過性の風潮に左右されず、息子には「自分の感受性を大切に」これからも楽しく元気に過ごしてほしいと思う。そして私もそれを楽しみながらサポートしたいと思います。
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